山口揚平『なぜゴッホは貧乏で、ピカソは金持ちだったのか?』あなたにとって、お金の定義とは?

山口揚平『なぜゴッホは貧乏で、ピカソは金持ちだったのか?』あなたにとって、お金の定義とは?

先日手にとった山口揚平さんの、

『「そろそろ会社辞めようかな」と思っている人に、一人でも食べていける知識をシェアしようじゃないか』という本が面白かったので、

ほかの本も読んでみた。

お金について、自分なりに定義するキッカケとなる本なので、

ブログ記事に残しておきたくなった。

前回読んだ本の記事はこちら。

概要

ピカソはお金の使い方、もっといえば、

お金以外もお金のように使う方法が分かっている人だった!

というエピソードから始まり、

お金とは、信用とは、価値交換について考える本。

感想

一番面白かったのは、お金の定義が、個人・国によって違うこと。

ほかにも面白いことは書いてあったけど、冗長になるので、

この記事は様々な角度からみた、お金の定義、についてに絞って書く。

1.個人にとって、お金とは。

まず、「何をするにも必要なものである」という考えが一般的だと思う。

そう、ここは異論がない。

究極の現実だ」と言う人もいる。

なんだか、就職や結婚で使われる「現実を見ろ」(≒安定した経済力を重視せよみたいな)というニュアンスに感じてしまう…

現実は作りかえていきたいから、

現実を見ろという言葉は、すきじゃないけれど…。

インターネット掲示板である2ちゃんねる(現5ちゃんねる)の書き込みでは、

「お金とは権力である。」

これはわかる気はする。

官僚の中でも、もっともエリートコースといわれるのは、財務省だし、

地方公務員でもやはり出世コースといわれるのは、財政課というし。

また、とあるベンチャー企業の社長(東大卒)にとっては、

「お金は資本主義の偏差値だ」

と。

このひと、一番偏差値が高い分野をクリアすることが、楽しいんだろうな。

この社長は、五つ星レストランで一通り珍味を食べたあとに、

ビックマックが一番うまい、とのたまう。

対面して言われたら、イヤミなやつだなとも感じそうだけど、

一度はやってみたい気持ちもある。笑

ビックマックしか食べられないんじゃなくて、

五つ星レストランも選択肢にあるけど、「あえてビックマック」を選びますよというスタンス。

あぁ、この「選択肢が多いけれど、あえて」というスタンスは、酒井順子『負け犬の遠吠え』を連想してしまう…。

勝ち組女性で、かつ恋愛にも不自由はしませんが、あえて「負け犬」という言葉を選べる余裕みたいな。

と思うのも、私がひねくれているからかね。

また、ある証券会社の社長

「お金は社会の議決権」と話す。

人々が何にお金を投じるのかによって、社会がどう形づくられるかが決まる、という意味だ。

お金は天下の回りもの、社会財だ、というのである。

この考え方は好きだなぁ。

(もしやマネックス証券の社長さんか?と一瞬思った。)

「議決権」ということばを目にしたときは、一瞬、

保有株数に応じて議決権が与えられる株式会社の仕組みのことか?

と、思ったが、そんな狭い意味じゃなかった。笑

株数に応じた議決権も、「資本主義のなかでの平等」というか、

それだけリスクもとって、お金を出した人に発言権を与える仕組みもいいと思うんだけど…。

でも、そんな狭い意味ではなくて、日々の買い物が、何に価値を見出しているかの意思表示かなと。

とにかく安さだけで選べば値下げ競争を促進するし

品質のいいものにお金が流れるなら、やはり品質が良いものを作ろうという流れになるし。

勝間さんも似たようなことを仰っていたような…なんの本だったか。

(2)お金とお国柄。

また、著者の友人で、高額医療事業で起業した方いわく、

スポンサーを探すならアラブ諸国を回るわ。

だって彼らは、庭を掘ったらお金(=石油)が湧いてきたのよ。

そんな軽いお金だから、スポンサーになってくれる可能性が高いもの。」

あ、国によっても、お金に対する執着度合いが違うんだ!と、

当たり前のようで考えもしなかった発見。

私が非グローバル人間というのもありつつ…

当然、アラブの人すべてが石油王ってわけではないけど、

お金に対する価値観って、お国柄も影響していそうで面白そう。

(深堀しようと思ったら、世界史や、宗教史、も絡んでキリがなさそうだが。)

しかし、労働力を糧にして加工貿易で価値を産み出してきた日本人のお金と、

土を掘ったら湧いてきた石油を売ってつくった中東のお金、

将来”を担保に借金を重ねてつくりだした欧米のお金では、

それぞれ意味合いも重みもぜんぜん違う、ということだけははっきり言えるだろう。

これって、そのまま何が尊いか表れて面白い…

労働が尊いのか、将来に重きを置くのか。

さらに続く

それらを等価値の「お金」という枠組みで捉えて、

「為替」という形でコミュニケーションすることに、無理がありすぎはしないだろうか。

という一文も印象的。

為替は、すべての価値を等価交換できる仕組みでもないと。

ちょっとこの文章を頭に入れてから、通貨や為替についても攻略したい。

わたしにとってお金とは?

私にとってお金とは?と問われたら、

「選択肢を狭めないために必要なもの。」

と答えるかなぁ。

「お金がないから結婚に躊躇する」「進学をあきらめて就職」なんて、

それこそお金がないから選択肢を狭めてしまうケースだし…。

「仕事と家庭の両立」だって、お金がふんだんにあれば、

便利家電外注で家事の負担が減る。

というか、死ぬまで食べていけるお金があれば、

「仕事と家庭の両立」に悩むほど働かなくても良いし。

あぁ、アラブで石油を掘ってこようかな。

ここであえて「選択肢を狭めない」と消極的な言い方をしたのも、

お金があっても、選択をするのは自分自身だからと。

と書いてて思ったけど、言論の自由が保障されている国で生きる前提だな。

経済成長しながらも、言論の自由が担保されない国や、

独裁国家だと、お金を持っていてもやはり選択肢は狭まるし。

この本は、貨幣経済とは、信用とは、大変わかりやすい言葉で続くのだけれど。

自分にとってのお金を定義することで、

自分が何に価値を感じるかクリアになるかも。

自分の価値観を知るために、森博嗣『お金の減らし方』もおすすめ。