ファイナンシャルプランナーは教えてくれない?『お金の減らし方』

以前から気になっていた、森博嗣『お金の減らし方』を読んでみて。
「お金の増やし方」を説く本もネットコラムも専門家も数あれど。
意外と「お金の使い方」について教わったり、考える機会ってないよな、と感じた。
概要
タイトルから予想したとおり、「お金の使い方」についての本ではある。
案の定「本当に好きなことにしかお金を使わないから、なかなか減らないんだよね!皆どうやったらお金を減らせるのさ」というスタンスだった。
「本当に好きなことにお金を使え」と、徹底して自分軸で判断するよう説く。
お金についてだけにとどまらず、働き方や、自分の願望をきちんと把握するには、とモヤモヤの打開策になりそう。
感想
☆貫け!ジブン軸!
大枠は「自分が本当に欲しいものだけ買いましょう、自分の欲望に向き合いましょう」というスタンス。予想通り・
ただ、自分軸を貫く徹底っぷりは、予想を上回った。
まだまだ「自分軸」でお金を使えていないなぁと感じたわ…。
特に印象的だったのは「必要なものは買うな、欲しいものを買え」と説くところ。
必要という条件は、多くの場合、他者の要請であったり、社会の常識や習慣であったりするが、事実上、本当に自分の生活に必要かどうかは疑問である。
あぁ、「必要だから買う」を疑う発想はなかったが、確かに自分の欲望に基づいていないよね。
著者が「必要だから買うもの」の例としてランドセルを挙げていたが、
確かにランドセルが「欲しくてたまらない」小学生って、日本にどれだけいるのだろう??
「なぜランドセルが必要か?」と「当たり前」を、1回疑う‥という姿勢は貫きたい。
(私の場合、物事を考えすぎて3回~50回くらいは疑って生きているけれど。)
ランドセルを使っていないだけで仲間外れにされるなら、ろくでもない人間関係だから、執着しなくていいだろうしね。
あと、個人的には「ランドセル=小学生という記号」であり、ロリコンを興奮させる要素になりそうで、娘がいたら使わせたくないなぁと思った…笑
逆もまた真なり。
贅沢かどうかを判断することさえ、ほとんど無意味だと考えている。その判断基準の大部分は「世間体」のようなものであり、自分にとっての価値ではなく、他者から見られることを前提としたものだ。
ね、「贅沢」も、他人の価値観で判断しているという点は一緒だよね。
たとえば、人によっては「わざわざ本を買うなんて贅沢。図書館で借りれば無料だし、ブックオフで安く売られているのに」という人もいるけど、
私に必要だから、買う。
インスタ映えがしなくたって、買う。
図書館で順番待ちが回ってきたときに、疲れていたり、忙しくて読めなかったら悲しいし…。
☆「売ることを前提としてものは買わない。」
また将来売れるだろう、値が上がるだろう、と見込んで買う、というのは「自分にとっての価値」とは違うものに、判断が囚われている結果といえないだろうか。
たしかに。
「高く売れなくても買う」ほど欲しいものにしか、お金を使いたくない…
買って自分の持ちものにする価値とは、それに触れること、それをいじること、それで遊ぶこと、あるいは壊したり改造したり、違うものに書こうすること、新たなものを作り出すことである、それは、自分の所有物にしなければできない行為だ
あぁ、私の場合、「高く売るために、本を綺麗な状態を保つ」ことができないw
根がガサツというのが最大の原因だが…
お風呂で本を読むのが、やめられない。
湿気で本がふやけると知りつつ、お風呂で本を読みたいんだ。
でも、「『お風呂で』本を読む時間」を含めて本を買うということで、私が満足していればいいのか。
(ついでに、お風呂で本を読む私を甘やかしてくれるマーヴ…は、お金で買えないね。「冷静と情熱のあいだ」ネタ。)
☆「お金のために」作家になった
個人的に意外だったのは、著者は作家になりたくてなったわけではなく、お金を得る手段として小説を書いたらヒットしたと
大抵。小説家って小説が好きでなるもんだと思っていたから…意外だった!
ただ、「お金を得る手段」「仕事」と割り切ったために、
冷静に「どういう作品がウケるか」と考えて執筆できたのではないかなと。
仕事は「自分が好きなことをするために必要なお金を得る手段」と割り切ることも、大事だな…。
また、「好き」で仕事を探す人が多いが、「得意なこと」という視点で仕事を探した方が効率がよいと。
「得意なこと」はもっともっと掘り下げて考えたい
※募集※ 私の得意なこと、気づいたら教えてください(⋈◍>◡<◍)。✧♡
☆お金で買えないものは、他者が介在するもの
「お金で買えないものは、他者が介在するもの」という考え方。
腑に落ちた!
「本当に大切なものこそ、お金では買えない」といった言葉をよく見聞きするが。
自分の夢ややりたいことに、承認欲求が混ざると面倒くさいのは、重々承知しているんだけどね。
今、ふと浮かんだお金で買えないものとは、こういう例だろうか。
お金で買えない例1)知的で誠実なイケメン彼氏とつきあいたい
→知的で誠実なイケメン氏の合意、できれば好意が必要
お金で買えない例2)再生回数日本一のYouTuberになりたい
→もっとレベルが高いYouTuberがでてきたらアウト
そもそも、自分以外の他者が、あなたの動画を気に入ってくれるかはコントロールができない
そう…「小説家」になれなくても小説を書く。
ブログで収益がなくても、ブログを書くのが好き、とかね。
承認欲求が絡むと面倒なんだよなぁ。
ただ、承認欲求が強いなら、無理に消さなくても、共存していけばいいのかなという気もする。個人的には。
ストレングスファインダー「自我」が上位、かつ獅子座なもので…。
承認されることで、新たな興味や可能性が広がる…かもしれない。
ワイの書評を書く習慣だって承認欲求が加速したきっかけだって、
学生時代mixiに本のレビューをあげていたら、友人から評判がよかった
→自我が喜ぶ!と、書評なり本の感想を書く習慣ができたし…笑
あぁ、この、「他人を必要とせずに、自分自身の願望を分かっている」というと、こちらの小説に出てくる「風変わりくん」を思い出した…
タイトルはカタカナを使いたかっただけなんだ
いやこの記事のタイトルね、カタカナを入れたかっただけで、
ファイナンシャルプランナーに喧嘩を売っているわけじゃないっす。
ただ、「お金の使い方」を教えてくれる専門家って滅多にいないよなぁと。
「お金を増やす」のは金融機関、「お金を守る」は税理士が浮かぶけど。
私自身も、「お金の使い方」について教わった人は、父親くらいしか浮かばないしな。
一番染みついているのは
「セールでモノを買うな!定価でモノを買え」と父親に何度も言われたこと。
確かに定価を払ってでも欲しいものを買うって大事だ。
だいぶタンスの肥やしが減ったわ。
「流行りのオシャレな飲食店に詳しい男は、見栄っ張りで金遣いが荒いやつが多い」
は、なんとなくわかる。
自分軸の権化のような親だけど、お金の使い方はいいこと教えてくれたから、いつか記事にしようかなw
ふと手にした本で、ひとつ親の教えが染みましたとさ。
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