勝間和代『勝間式「利益の方程式」─商売は粉もの屋に学べ!』インターネットの貧乏神に取りつかれないために

勝間和代『勝間式「利益の方程式」─商売は粉もの屋に学べ!』インターネットの貧乏神に取りつかれないために

勝間さんの本は結構読んでいるけど、取り分け良い本だった…!

え、これもっともっと、有名になっていいはずの本。

一回で全部吸収しきれないくらい、学びが多い。

電子書籍化されていないので、紙で買ってしまったけど、ずっと手元に置いておきたい本だった。

マーケティング・ビジネスモデルに興味がある人は、

まずこれを読んでおいていいくらい。

1.概要

勝間式万能方程式:

「利益=(単価-獲得コスト-原価)×顧客数」

方程式にあてはめつつ、利益を出す仕組みを考えていく本。

安易な値下げは悪であると「顧客単価を上げる」コンセプトで、

原価を下げる工夫や、顧客獲得コストの費用対効果など。

具体例が多く、参考文献も充実しており、

マーケティングに興味があるけど何を読んだら…という人にお勧め。

※タイトルには「粉もの屋」とあるけれど、

別に粉もの屋に特化した本ではない。

2.感想

(1)インターネットは貧乏神

「インターネットのおかげで、誰でも在宅で仕事ができる」

といった言葉を、最近耳にする。

しかし誰でもできる、ということは、裏を返せば、参入障壁が低いということ。

つまり、ライバルだらけと。

なぜなら、誰かが何かを始めて儲かると、同じことを他社が一斉に始めるためです。

たとえばアフィリエイトであったり、インターネット広告であったり、EC(イーコマース)であったり、Web2.0的な事業もすべてそうです。

結局上位の1~2社を除いて、誰も儲からないようになります。

その1~2社にしても、最長でも数年たてば儲からないようになるでしょう。

と、「インターネットは貧乏神」という表現がでてきて、パンチが強いなぁと。

「インターネットのおかげで、個人でもビジネスができる時代」って、

夢のようで、限られた利益を奪い合う悪夢の時代でもあるな。

でも、よくTwitterでフォローされる自称ブロガー・自称アフィリエイターに関するうさん臭さが、言語化できた。

「アフィリエイトで、月収〇万円」って、要は広告費でしょ?

これだけ「誰でもできる」ビジネスなら、限られた広告費を奪い合うだけじゃないかと。

ブログもYoutubeも、アクセス数集めって、

ウェブ界隈での一等地を目指して奪い合う感じだな…。

他にもインターネットを使ったクラウドワークも、

使い方を間違えると双方悲惨なことになると思う。

(これ自体は可能性を広げる取り組みだと思うけど。)

あぁ、「インターネットに降臨する、八百万(貧乏)神図鑑」なんて作ったら、

面白そう、とも妄想してしまった。

ブロガー、Youtuber、せどり、クラウドワークス…

収益モデルと落とし穴(貧乏神がつけこむスキ)的な。

(2)貧民効果

「インターネットは貧乏神」と並んでパワーワードだと思ったのが、この言葉。

顧客数が増えるほど顧客単価が下がること、

私はこれを「貧民効果」と読んでいます。

当たり前のことだけど、すべての人には可処分所得を上限とした予算がある。

顧客が広がれば広がるほど、

可処分所得が少ない=予算が少ない層も相手にするので、単価は下がると。

それぞれの商品・サービスは顧客単価に応じて、ほとんどのマーケットの大きさが決まってしまいます。

無理に顧客を拡大したところで、多くお金を落としてくれるとは限らないんだよな…。

いたずらに顧客を増やすのではなく、

いかに単価を上げるか?が重要だなぁと感じる。

(3)他人の努力を、ぞんぶんに享受!

仕入原価の中で、いかに他人の努力に「合法的」に便乗できるか、という視点を持つことは重要です。

これもなかなか、パンチが効いてすきなフレーズ。

というか、努力しないための努力をしたい私に、響かないはずがない。

Youtubeなどは、コンテンツは顧客が作ってくれるため、

コンテンツの「仕入」は無料。

広告費が大した金額ではなくても、仕入れコストがただに近いのだから、提供側が儲けられると。

ブックオフ着メロサイトのビジネスモデルも、面白かった。

(しかし着メロ、着うたって懐かしいな…ガラケー時代ならでは。)

(4)書籍市場

書籍市場を例にして、潜在顧客数を説明している部分で、

あらためて、本を買う人が多くないのね、と改めて衝撃的だった。

雑誌が1.3兆円、書籍が9 ,000億円…これが、2008年に出版された本だから、

いまはもう少し少ないのかな。

さらに、

どの年代も90%くらいの人が書籍を読む習慣があるとしていますが、実際に購入頻度を尋ねると、

月に1回以下の購入頻度しかない割合が50%以上を占め、

毎週末本を購入するようなヘビーユーザーはわずか10%しかいないのです。

確かに本を読む習慣があっても、図書館メインの人もいるからなぁ。

ほかにも、大ヒットした『お金は銀行に預けるな―金融リテラシーの基本と実践』も、

当初のタイトルは『金融リテラシー』だったなど、

出版・書籍にまつわるアレコレが面白かった。

たしかに、『お金は銀行に預けるな―金融リテラシーの基本と実践』も、

とても良い本なんだけど、

『金融リテラシー』というタイトルだったら、

すでに金融リテラシーがあるひとしか手に取らない気がする。

3.まとめ

やっぱり勝間さんの本の中でも、お金にまつわる本は面白い。

これもいい本で、もっともっとこういう本が書かれてもいいはず…!と偉そうに思いながらも。

自己啓発本のほうが、手っ取り早くコンプレックスを解消できそうで売れるのかしらね。

個人的には年収10倍~より、こちらのほうが好みだ…

推し本だけど、考えすぎてレビューを書けなくなるのも嫌なので、とりあえず書く。

『お金は銀行に預けるな!金融リテラシーの基本と実践』も、

非常にいい本なので、ぜひ。

最新作の感想はこちら。