勝間和代『勝間式「利益の方程式」─商売は粉もの屋に学べ!』インターネットの貧乏神に取りつかれないために
- 2020.09.03
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勝間さんの本は結構読んでいるけど、取り分け良い本だった…!
え、これもっともっと、有名になっていいはずの本。
一回で全部吸収しきれないくらい、学びが多い。
電子書籍化されていないので、紙で買ってしまったけど、ずっと手元に置いておきたい本だった。
マーケティング・ビジネスモデルに興味がある人は、
まずこれを読んでおいていいくらい。
1.概要
勝間式万能方程式:
「利益=(単価-獲得コスト-原価)×顧客数」
方程式にあてはめつつ、利益を出す仕組みを考えていく本。
安易な値下げは悪であると「顧客単価を上げる」コンセプトで、
原価を下げる工夫や、顧客獲得コストの費用対効果など。
具体例が多く、参考文献も充実しており、
マーケティングに興味があるけど何を読んだら…という人にお勧め。
※タイトルには「粉もの屋」とあるけれど、
別に粉もの屋に特化した本ではない。
2.感想
(1)インターネットは貧乏神
「インターネットのおかげで、誰でも在宅で仕事ができる」
といった言葉を、最近耳にする。
しかし誰でもできる、ということは、裏を返せば、参入障壁が低いということ。
つまり、ライバルだらけと。
なぜなら、誰かが何かを始めて儲かると、同じことを他社が一斉に始めるためです。
たとえばアフィリエイトであったり、インターネット広告であったり、EC(イーコマース)であったり、Web2.0的な事業もすべてそうです。
結局上位の1~2社を除いて、誰も儲からないようになります。
その1~2社にしても、最長でも数年たてば儲からないようになるでしょう。
と、「インターネットは貧乏神」という表現がでてきて、パンチが強いなぁと。
「インターネットのおかげで、個人でもビジネスができる時代」って、
夢のようで、限られた利益を奪い合う悪夢の時代でもあるな。
でも、よくTwitterでフォローされる自称ブロガー・自称アフィリエイターに関するうさん臭さが、言語化できた。
「アフィリエイトで、月収〇万円」って、要は広告費でしょ?
これだけ「誰でもできる」ビジネスなら、限られた広告費を奪い合うだけじゃないかと。
ブログもYoutubeも、アクセス数集めって、
ウェブ界隈での一等地を目指して奪い合う感じだな…。
他にもインターネットを使ったクラウドワークも、
使い方を間違えると双方悲惨なことになると思う。
(これ自体は可能性を広げる取り組みだと思うけど。)
あぁ、「インターネットに降臨する、八百万(貧乏)神図鑑」なんて作ったら、
面白そう、とも妄想してしまった。
ブロガー、Youtuber、せどり、クラウドワークス…
収益モデルと落とし穴(貧乏神がつけこむスキ)的な。
(2)貧民効果
「インターネットは貧乏神」と並んでパワーワードだと思ったのが、この言葉。
顧客数が増えるほど顧客単価が下がること、
私はこれを「貧民効果」と読んでいます。
当たり前のことだけど、すべての人には可処分所得を上限とした予算がある。
顧客が広がれば広がるほど、
可処分所得が少ない=予算が少ない層も相手にするので、単価は下がると。
それぞれの商品・サービスは顧客単価に応じて、ほとんどのマーケットの大きさが決まってしまいます。
無理に顧客を拡大したところで、多くお金を落としてくれるとは限らないんだよな…。
いたずらに顧客を増やすのではなく、
いかに単価を上げるか?が重要だなぁと感じる。
(3)他人の努力を、ぞんぶんに享受!
仕入原価の中で、いかに他人の努力に「合法的」に便乗できるか、という視点を持つことは重要です。
これもなかなか、パンチが効いてすきなフレーズ。
というか、努力しないための努力をしたい私に、響かないはずがない。
Youtubeなどは、コンテンツは顧客が作ってくれるため、
コンテンツの「仕入」は無料。
広告費が大した金額ではなくても、仕入れコストがただに近いのだから、提供側が儲けられると。
ブックオフや着メロサイトのビジネスモデルも、面白かった。
(しかし着メロ、着うたって懐かしいな…ガラケー時代ならでは。)
(4)書籍市場
書籍市場を例にして、潜在顧客数を説明している部分で、
あらためて、本を買う人が多くないのね、と改めて衝撃的だった。
雑誌が1.3兆円、書籍が9 ,000億円…これが、2008年に出版された本だから、
いまはもう少し少ないのかな。
さらに、
どの年代も90%くらいの人が書籍を読む習慣があるとしていますが、実際に購入頻度を尋ねると、
月に1回以下の購入頻度しかない割合が50%以上を占め、
毎週末本を購入するようなヘビーユーザーはわずか10%しかいないのです。
確かに本を読む習慣があっても、図書館メインの人もいるからなぁ。
ほかにも、大ヒットした『お金は銀行に預けるな―金融リテラシーの基本と実践』も、
当初のタイトルは『金融リテラシー』だったなど、
出版・書籍にまつわるアレコレが面白かった。
たしかに、『お金は銀行に預けるな―金融リテラシーの基本と実践』も、
とても良い本なんだけど、
『金融リテラシー』というタイトルだったら、
すでに金融リテラシーがあるひとしか手に取らない気がする。
3.まとめ
やっぱり勝間さんの本の中でも、お金にまつわる本は面白い。
これもいい本で、もっともっとこういう本が書かれてもいいはず…!と偉そうに思いながらも。
自己啓発本のほうが、手っ取り早くコンプレックスを解消できそうで売れるのかしらね。
個人的には年収10倍~より、こちらのほうが好みだ…
推し本だけど、考えすぎてレビューを書けなくなるのも嫌なので、とりあえず書く。
『お金は銀行に預けるな!金融リテラシーの基本と実践』も、
非常にいい本なので、ぜひ。
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