漆原直行『ビジネス書を読んでもデキる人にはならない』出版業界に課金するのはいいけれど…

漆原直行『ビジネス書を読んでもデキる人にはならない』出版業界に課金するのはいいけれど…

気になっていたまま、何年も手に取らなかった本。

2012年に出版された本で、少し時間をおいて読むのも悪くなかろうw

概要

2000年代、各年ごとに、ベストセラーとなったビジネス書&新書を、その年に起きたニュースと絡めながら紹介。

ここから、量産系ビジネス書(※)へ、切れ味抜群のコメントが続く。

※専門分野の本ではなく、主に自己啓発本。

ビジネス書が量産される理由として、

刊行数を増やす薄利多売に舵を切った出版業界の事情もあるとのこと。

また、ビジネス書の大半は、数冊の本を焼き直しベースにしていると指摘する。

さらに、ビジネス書ばかり読む「意識高い系」の勘違い社会人への考察が痛快だ!

それでも「ビジネス書を読むならこの本だ!」と、著者がおすすめする本とは。

書店で平積みされたビジネス書に課金する前に、一回読んでおこうか。

感想

仰ぐは同じき理想の光?

2000年代のベストセラー本のタイトルを眺めると、びっくりするほど今と似たり寄ったりだ!

2020年の今も、書店で似たようなタイトルの本を見かけそうだ。

にいいサムシングに、仕事術

お金があって、頭が良くて仕事ができる人になりたいんですね。みんな。

少なくとも私はそう。

数十年経っても人の願望なんて大して変わらないよなぁ。

最近は書店で「私らしく」「ありのままに」という本も、目についてな。

特に女性向けコーナーに多い。

SMAPが、ナンバーワンよりオンリーワンでいいんだと歌って20年近く経つが、

どうやらオンリーワンになることすら簡単ではないようだ。

書店に積まれたビジネス書や自己啓発本は、世の願望が見えて面白い。

書店巡りはやめられない。

2002年と2003年の壁?

印象的だったのが、2002年ベストセラーのコメントで

この年まではビジネス書におけるにおける有名著者といえば、経験・実績豊富でタフなオジサマ経営者、評論家、研究者の顔ぶれが並ぶのが一般的な傾向でしたが、翌年からちょっと様子が変わってくるのです。

オジサマたちの例として、大前研一落合信彦の名前が挙げられている。

(落合陽一のほうじゃないよ!)

あぁ大御所の本が読まれる時代もちゃんとあったのね、という感じ。

しかし、2003年から、ポッと出のよくわからないコンサルや経営者が出てくると。

2020年は、さらによくわからない人たちが跋扈している。

2003年ごろから流れが変わったんだ~、と興味深いな。

最大の自己啓発書は聖書?

自己啓発本は、「7つの習慣」がベースになっているというのはなんとなくわかる。

さらに、この本もはキリスト教に影響を受けているとも。

なんだ、最大の自己啓発本って、聖書じゃん

自己啓発本の中には宗教っぽい本もあって…『完全教祖マニュアル』も思いだした。

まとめ&おすすめ本

わかる。

わかるけど、私もビジネス書に、かなりの時間やお金を投下しちまった。

耳が痛い。

常に不安しかないし、読みやすいから、つい手に取ってしまうんだよね自己啓発本は…。

どうやって人心を掌握しているのか?という視点もあるけど笑

でも、人と同じものを読んでいたら、同じ考え方しかできない。

私は勝間さんの本も読むし、勝間さんがおすすめする硬派な本も読む。

(勝間本を読む人はたくさんいても、勝間さんのオススメ本についていける人はなかなかいないと思う…。)

そして、落合陽一の本が平積みされる時代に、落合信彦の本を手に取ろうと思った。

おすすめ本

勝間和代『勝間式「利益の方程式」 ─商売は粉もの屋に学べ!─』

何度か引き合いに出された勝間和代氏。

「彼女の著作は初期をチェックしておけ」と書かれていて、真っ先に浮かんだのがこの本。

自己啓発本じゃなくて、マーケティングの入門として良書…!

加神恭介・辰巳一世『完全教祖マニュアル』

どういう人が信者になりすいか?

一部の自己啓発本に心酔した読者と、重なるものがありそうだ。

常見陽平『「意識高い系」という病 ~ソーシャル時代にはびこるバカヤロー』

意識高い系の患者と、自己啓発本は親和性が高いよな。

朝井リョウ『何者』

就活中の学生がテーマの本。

意識高い系の学生の描写が絶妙。

きっとここに登場する学生が、自己啓発本に逃避する社会人になりそう