山口揚平『新しい時代のお金の教科書』

山口揚平『新しい時代のお金の教科書』

以前に読んだ『なぜゴッホは貧乏で、ピカソは金持ちだったのか?』という本の続編だそうな。

前回書いた感想はこちら。

山口揚平『なぜゴッホは貧乏で、ピカソは金持ちだったのか?』あなたにとって、お金の定義とは?

概要

お金の歴史から、貨幣とは何かわかりやすく書いた本。

今お金に起こっている変化として、ブロックチェーンが変えることや、人が求めるものについて考察している。

さらにこれから起こりうる、価値交換の手段として、

・時間主義経済

・記帳主義経済

・信用主義経済

についての話が興味深い。

お金について、過去から未来へ考える1冊だ。

感想

(1)消費者の心をつかむものとは…

最も印象的だった箇所がこちら。

これからは見栄え重視の消費者がいることに留意しないと、企業は戦略を誤りかねません。

例えば、英会話などは昔から出会いの場、習っている自分を見せるという側面が強く、英語を習得するのは実は二の次の目的でした。

そういう消費者の本質的な欲求をおさえた会社が勝ち残っていったのです。

あれだ。承認欲求を満たすとは、まさにインスタ映えのような側面か…。

さらに、承認欲求を満たすビジネスモデルとしてのクックパッドが面白かった。

「つくれぽ」の仕組みも面白いけど。

クックパッドは人気ランキングを閲覧できるのは、有料会員のみというところがユニークだなぁと。

基本的にクックパッドが人気ランキングを公開しないのは、ランキング上位の投稿ばかりアクセスが集中してしまうから。

そうなると、一部の人しか使う気になれないよね…という。

人気ランキングを作らずユーザーを満足させる仕組みというと、noteも連想した。

無料ブログサービスって、大抵ジャンルごとの人気ランキングが作られるけれど。

noteも、閲覧数だけの単純なランキングを作っていないよね。

(2)どこにいっても逃れられない!

あとがきに書かれていた

この世界は未来永劫に資本の波から逃れることはできません。

繰り返しになりますが、私が経済学を学んで悟ったことは、資本を否定することの愚かさでした。

も、ふと惹かれた。

資本主義から逃れられないと、お気に入りの小説を連想したよ。

3.まとめ

さらっと貨幣論について学べて面白い。

山口揚平さんの本は今後も読むぞ。

この本もおすすめ

錦野宇志郎『「スタバが怖い! 」がわからない人はマーケッターをやめなさい!! 』

お客が何にお金を払っているか?

スタバにいる俺かっこいいを演出したいんだよ…という。

「承認欲求を満たすサービス」から連想した本。

単に意識高い系あるある本のようでいて、色々発想が広がって面白かった。(人によって好みはあるが)

ミヒャエル・エンデ『モモ』

時間主義経済で思いだした。

渡辺球『俺たちの宝島』

架空のゴミ山で暮らす少年たちを描いた、近未来ディストピア小説。

どこにいっても資本主義から逃れられない!と感じる1冊。

読みやすいけれど、資本主義の本質がうまく書かれていると思う。

あまり知られていないけれど、個人的にマイベスト10に入るほど好きな本だ。