高杉良『小説 ヤマト運輸』

高杉良『小説 ヤマト運輸』

先日水没事故によりスマホを破損し、至急買い求めたスマホ。

アマゾンによると本日配達予定なのだが、今も配達ナシ、当然不在票ナシ。

カスタマーサービスに問い合わせるも、
「配達業者じゃないからわかりかねます」と

いやいや、アマゾン配達って記載だけで、

どこの業者なのか分からないから聞いているのに

時間がわからないから風呂にも入れぬ。

と、改めて、おとどけ予定時間を知らせてくれる、

ヤマト運輸のサービスは、当たり前に思っていたけど当たり前じゃないクオリティだよなと。

というか、40年ちょっと前までは、「全国各地に翌日配達」なんてサービスはなかったんだ…

と、ヤマト運輸にまつわる小説を思い出してみる。

概要

全国どこでも、翌日配達の「宅急便」を、普及させるまでのお話。

長年の顧客だった三越とのトラブルや、運輸省とのゴタゴタなど、
昭和の物流業界が覗ける一冊。

感想

個人向け、翌日配達の宅急便は、当たり前のようで、当たり前じゃないんだなと。

企業努力の賜物なんだけど。

物心ついたころから、宅急便は普通に存在していたので。

あっ、個人向けの荷受け・配達サービスなんて珍しかったんだ…、と。

宅急便を開始したのは、1976年…昭和51年かぁ。

ヤマト運輸公式ホームページ『宅急便のあゆみ』

 

クール宅急便も当然に思っていたけど、画期的なことだったのね。

当初、冷やすことに注力しすぎて、

暖かい地域から、北海道に送られたみかんは、

すべて冷凍みかんになってしまったらしい。

 

でも、一番好きだったのは、

無理難題をふっかける三越と、ビジネスパートナーを解消するシーン。

数年前に、ヤマト運輸がアマゾンから撤退した話と重なった。

短期的に売上が減っても、マイナスになる顧客って切りたいよな…なかなか難しいけれど。

トレードマークである「クロネコ」マークの誕生秘話が、良い話だった。

芸術家肌の変わり者社員が、ひらめいて、功績を残すというエピソードに惹かれる。

(正確には、社員の子どもの絵がキッカケだけど。)

というか、芸術家肌の社員でも普通にいられるって、やっぱり昭和のほうが今より余裕があったのかしら…?

昭和に会社員をやったことがないのでわからないけれど。

「顧客第一」という徹底した姿勢は、「古き良き時代」「昭和」という印象だった…。

昭和ギリギリに生まれた人間がいうのも変だけど、「昭和」が大昔に感じる。

「顧客第一」がベースにありながら、

誰もやっていないことに目をつけるっていいな。

最近いろんなビジネスモデルに興味が出てきたので、高杉良の経済小説ももっと読んでみたいな。

(と思いながら、読むのにエネルギーを使うのが経済小説…)

 

って書き終わったら、待ち構えていたスマホが届いた。

…なんか、やっぱりヤマト運輸ってきちんとしているな、と色々思った。