山口揚平『まだ「会社」にいるの?「独立前夜」にしておきたいこと』独立=ギャンブル、というイメージの人へ。

山口揚平『まだ「会社」にいるの?「独立前夜」にしておきたいこと』独立=ギャンブル、というイメージの人へ。

『「そろそろ会社辞めようかな」と思っている人に、一人でも食べていける知識をシェアしようじゃないか』が面白かったので、こちらも読んでみた。

面白いと思った本があれば、同じ著者の本を何冊か読んでしまう…。

概要

独立に少しでも興味がある人へ。

あるいは、独立に対して「ギャンブル」などマイナスのイメージがある人へ。

「独立ってそんなに特別なことではなく、必要な技術があればいいんだよ」という本。

押さえるべき重要なポイントを押さえて、地道に信用を築いていくという堅実な内容だ。

メンタルコントロール、固定費の下げ方、人間関係の棚卸など、とても具体的で興味深かった。

ただのハウツー本ではなく、「こんな視点はなかった」と新しい発想をインストールできる1冊。

感想

(1)独立が当たり前だった時代

言われてみれば…という感じだけど、最も印象的だったのがこちら。

総務省統計局の調査によれば、1960年、今から約50年前には、約60%の人が自営業者か家族従業者、つまり独立事業者でした。

もちろん、産業構造の違いは考慮しないといけないと前置きをしたうえで、

今では独立や起業というと、選ばれた人やなにか特殊なスキルがないとできないように思われていますが、約50年前は、独立していることは極めて普通のことだったということです。

独立=少数派、というのも思い込みのひとつかもしれない。

考えてみれば、国民年金・国民健康保険も、独立事業者を前提に制度設計されているよな…。

国民年金が厚生年金に比べて、老齢年金の給付額が少ないのも「会社勤めは定年があるけれど、自営業者は定年なく働き続けられるよね」って趣旨だろうし…
(一定以上保険料を納付している、という前提で。)

 

独立が多数派という視点がなかった。ここは興味深かった。

独立とは「向き・不向き」の問題ではなく、誰でもできる単なるスキル・技術、そして姿勢の問題にすぎないということです。

と、スキルや技術について具体的な説明が続く。

「メンタルログ」など、普通に会社員としてでも役に立ちそうなスキルだが。

(2)モノあまりの時代、売られるものの意味

この発想もなかった!と新鮮だったのは、モノの役割りについて。

モノが余っているような時代、単に機能性じゃなくて、もっと感情面でも価値が求められるよねって話から。

たとえば、野菜の有機栽培などは、消費者に「安心」という感情を売っている意味においては、農業より保険業に近いのです。

保険業か!

有機栽培の野菜なんて、せいぜい「健康を売っている」というイメージしかなかった。

野菜を売ることと、「保険業」なんて結びつかない。面白い。

『新しい時代のお金の教科書』も、「モノ余りの時代に、消費者は何にお金を出すか?」という視点で面白かったな…。

(3)期待値を下げる

うっ、染みた…。

僕が、人生でもっとも大事にしているのは「余裕率」という考え方です。

余裕率が高まると、直観力が増し、メンタルも安定し、幸せへ近づくとのこと。

感覚としてはわかるんだけど…。

期待値(期待・不安・欲望)が低く、キャパシティ(能力・お金・愛)が高いほど「余裕率」が高まると。

そうきくと、「じゃあ自分のキャパを上げよう!」という方向でアクセルを踏んでしまうのは、私だけではないはず。

わ~、私って意識高い~。

しかし、著者が説くのは

「能力を高めるより、期待値を下げたほうがいい

ということ。

余裕率が常に低空飛行なので、刺さった。

ええ、自分のキャパに見合わない期待を高めてしまうから、メンタルが安定しないんだよな。

わかっちゃいるさ。

で、「自分や他人への期待値を下げる習慣」を意識的に行うことが大切だとのこと。

この高まった期待を定期的に下げて、解毒(デトックス)する必要があるのです。

僕はこれを「エゴデトックス」と呼んでいます。

エゴデトックス。

うわ、これはもっともっと知りたい…。

私は、エゴの断食道場が必要なレベルだ‥。

3.まとめ

確かに昔は個人事業主だらけだったわ…。

「ドラえもん」に出てくるジャイアンのご両親だってそうだ。

「独立」に対するイメージが、ちょっとだけ変わった。

タイトルはちょっと煽っている感じに見えなくもないけど、中身はとても堅実な内容だった。

あととにかく読みやすい文章だ。

山口揚平さんの本は、新しい発想をインストールできるから好きだな。

ほかの著作も色々読んで、ガンガン新しい発想をインストールしたい…ってまた自分に期待値が上がっているな。

こんな本もおすすめ

グレッグマッキューン『エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする』

「期待値を下げる」で連想したのがこちら。

いらないものを徹底してそぎ落とせ、と説く本だ。

余計なことも頑張ってしまうのは、認められたいなど自分にも他人にも期待している状態かなぁと思ったので…。