安倍晋三『美しい国へ』【辞任をキッカケに今さらながら…】

安倍晋三『美しい国へ』【辞任をキッカケに今さらながら…】

安倍晋三首相が辞任したタイミングで読んでみた、『美しい国へ』

首相退陣のタイミングでもないと、この先もきっと読もうとしないだろうと。

想像通り、家族に関する価値観は相いれなかったけれど、

生い立ちや、外交社会保障に関する話はおもしろかった。

感想

1.とりあえず反対すりゃいいってもんじゃない

生い立ちが書かれた、第一章「わたしの原点」が一番面白かったなぁ。

特に、学生運動全盛期、1970年のこと。

高校の授業で、日米安保条約を破棄すべきだと教師が主張した際、

「新条約には経済条項もあります。そこには日栄間の経済協力がうたわれていますが、どう思いますか。」

すると、先生の顔色がサッと変わった。

安部さんご本人も、完全に安保条約を理解していたわけではないが、

闇雲に批判する風潮に、疑問をお持ちだったようで。

中身も吟味せずに、何かというと、革新とか反権力を叫ぶ人たちを、どこかうさんくさいなあ、と感じていたから、

この先生のうろたえぶりは、わたしにとって決定的だった。

安保条約をすべて読みこんでみて、日本の将来にとって、死活的な条約だ、と確信をもつことになるのは、大学にはっていからである。

私自身思想は左寄り、反権力!が根本だと思うんだけど、

あぁ確かに知らずに批判できねぇなと刺さった。

安全保障は勉強したいなぁと思いつつ全然勉強できていない分野だ…

(学習欲に、脳みそが追い付かない)

身内も政治家で、外交の重要性を感じた出来事なども面白かった。

2.隣国とのスタンスがいい。

中国・北朝鮮に対して毅然とした姿勢は、やっぱり、いい。

まず、中国との付き合い方で、「政経分離の原則」がいい。

政治問題を経済問題に飛び火させない、あるいは政治的な目的を達成するために経済を利用することはしない。

おたがいに経済的利益を大切にし、尊重するのである。

この原則を共有することができれば、両国の関係悪化の歯止めになるし、抑止になる。

そう、自国の利益を見据えて、ただし政治は、流されずに冷静に、と。

相手は中国共産党だもんなぁ。

 

そして中国以上に北朝鮮!

「経済制裁効果なし」に効果なし

と、北朝鮮に毅然と対応する姿勢は、今読んでも同意する。

拉致被害者五人が帰国したときに、

国家の意志として五人を帰さない」

言い切ったのは、頼もしいなと当時思ったもんな…

「国家の意志」と表明することにもちろん反対意見もあったけど、

家族が人質に取られて、「本人の意志」なんて言えるわけないだろう、と。

小泉純一郎首相(当時)に同行して、金正日に毅然とした対応を求めて、

本当に当時の安部さんはカッコ良く見えたんだよな…。笑

 

総理大事になる前の話だけどな。

3.伝統的な家族観はあわないけれど。

「三丁目の夕日」を例に、お金で買えない精神的豊かさ、

家族との助け合いを美化しているところは、

お育ちがいいからそう思えるんだよ、と思ってしまった。

 

西原理恵子『この世でいちばん大事な「カネ」の話』あたりを読むと、

やっぱり貧困が精神豊かさを奪うと感じて。

衣食住足りて礼節を知るというし、お金の豊かさと精神豊かさって背反するものでもないしなぁ。

自身には子どもがいないからこそ、家族・子どもはいいものだ、と説くのは、

うむ、これは保守層にウケるなぁとも穿った見方をしてしまった。

いや、きっと、お育ちがいいから心底そう思っていらっしゃるのだろうけど。

家族に関する価値観合わないわーと書くと、長文になりそうなので、

このへんにしておく。

私、左寄りだとは思うんだけど…。

私は自分自身が左寄り・反権力思考だと思っていたけど、

批判するには、知らないことが多すぎて。

自民党の憲法改正草案は断固として反対だけど、

安倍さんの北朝鮮や中国に対するスタンスは好きなんだよなぁ・・・。

(とにかく安倍が悪い!って、ヘイトスピーチしかできないネトウヨと本質的に変わらない気がして。)

食わず嫌いだった自民党トップの本を読むとは。笑

①稲垣武『「悪魔祓い」の戦後史 進歩的文化人の言論と責任 』

安保法案から連想した。

なぜ、とりあえず安保反対!反権力って言っとけ!という時代になったか、

当時の知識人・文化人たちの罪など、読み応えがある本だった。

(この本の記事も書きたい。)

②小林節『白熱講義! 日本国憲法改正』

安全保障と、自民党の憲法改正草案は分けて考えましょうというスタンス。

自衛隊を憲法に明記しないと、むしろ暴走しかねない、という視点はなかった。

そのうえで、自民党の憲法改正草案の問題点は、ほぼ同意。

ずっと改憲反対の本ばかり読んでいたので、

自民党政権の憲法草案に反対するのと、現行の憲法に疑問を持たないのは別だ、

と気づけた。

ほんと、右も左もどっちかに振り切った本が少なくないから、

この本は良かった…!

 

なんかちょっとキナくさい記事になっちまった。

以上、友人と、9条改正より、「勤労の義務」を削ろうぜ、

と冗談を言っている意識の低いアカウントがお送りしました。