角田光代・鏡リュウジ『12星座の恋物語』

角田光代・鏡リュウジ『12星座の恋物語』

七夕の日にアップするぞー!

古本屋で発掘したお気に入りの本。

大抵、こういう本は、自分の星座だけ立ち読みをして帰る…はずが。

自分以外の星座も面白くて、思わず買って一気読みしちゃった。

と、その前に一応十二星座のエレメントについて、こちらが分かりやすかった。

魔女っ子の12星座占い「占星術の4区分・・・4つの元素(火・地・風・水)」

概要

12星座それぞれの男女の恋物語短編集。

星座の性質、それぞれの持つ魅力が浮かび上がる。

物語の合間には、鏡リュウジさんによる、各星座の解説も。

角田さんのファンはもちろん、星占いに興味がある人もお勧め。

感想(ネタバレ含む)

☆私を見て!「スペシャルちゃん!」獅子座

まぁまずは自分の属性(獅子座女子)から、ページを開くよね。

髪の毛も服もメイクも、ばっちりセッティングして、同級生の飲み会に向かった繭子。

「じゃあ、繭子の誕生日と、理菜の昇進と、松岡のデビューを祝って」

と乾杯のシーンで。

なんだ、私の誕生祝いだけじゃなかったのか

という内心の声。わ、声には出せないけど、わかる…

自分の自己顕示欲を突き付けられたようで、うっ、となった。

ノンフィクションを出版した同級生に対して、地味な‥と感じたのも、目立つことが好きな獅子座らしい。

で、一番印象的だったのは、自分に何があるのだろう…と、気落ちして、酔っぱらった勢いで

私だってなんかしたい。本出すとか、エステ主任になるとか、なんかしたい、でも、なんにもない

とつぶやいた一言。

そう、何もない、ってすごくつらい。

それも、人とつい比べちゃう。

と、この酔っ払いの戯言(?)に対するの同級生の返しが素敵。

あぁこんなことを言われたら、エネルギーが湧きそう!

と、自分のモチベーションも分かった‥笑

 

また、さらに印象的だったのが、他の「火」のエレメントに比べて…

獅子座、動いていないよね??

「牡羊座」はとにかく物事を始めないと、動かないと気が済まない、というイメージ。

中南米に一人旅を決める「わくわくちゃん」の射手座だって、今まさに動こうとするお話。

ストレングスファインダーでいうと、

牡羊座は活発性(始める!)、

射手座は達成欲(やり遂げる!)のイメージというか。

それに比べ獅子座は、「トクベツくん」「スペシャルちゃん」いずれにしても、舞台は飲み会。

獅子座、動いていないよね…?

どーん!と自分を軸の中心に置き、「俺!or私!を見てみて!」という獅子座よ。

…あぁ、獅子座の守護星は太陽だもんね。

そりゃ皆の者、太陽の周りをまわるわよね。

守護星が太陽なんて、やっぱり獅子座ってすごいんだね!!

☆「やすらぎくん」牡牛座

なんだろう、一般的にパッとモテるタイプではないけれど、ツボだった‥。

こちらは彼女が、「やすらぎくん」(隆治)についに別れを切り出すところからスタート。

彼の優柔不断さを責め立てるのだけど、

その別れを切り出された場でも、ワインの産地を店員に聞くほどのマイペースさ…。

 

いや、読み進めるうちに、「やすらぎくん」は、どう見ても面倒くさい、万人にウケるタイプではないだろう。

でも、このあきれるほどのこだわりのつよさと、自分のペースを守るところは面白いなぁ、なんかいいなぁと不思議と魅力的。

幼い頃、どこに行くにももっていったウサギのぬいぐるみ、それさえ腕の中にあれば世界は全然こわくないと信じていたあのぼろっちいぬいぐるみと、隆治と一緒にいた時間は、ひどく似ていたような気がした。

そうだ、憧れるのは、この安心感…!
「変わらないもの」へのあこがれだ。

また、鏡リュウジさんの解説より。

牡牛座の男の声は妙に色っぽいし。魅力的だ。ゆったりと話すそのトーンに、身を委ねてみるのもいいのではないだろうか。

あぁ……声がめちゃタイプ!っていう男性、牡牛座だったわ。笑

ミスチルの桜井さんは魚座だけどな。

”ただ、牡牛座は、自分がいいと思ったものを徹底的に手元においておくことが必要なので、そこが突出してしまうと、嫉妬深いということにもなる。”

…へぇ、嫉妬の炎で、穏やかな牡牛座も、闘牛になるのか。

いわゆる「真面目」「堅実」なイメージで一括りにしていた、地の星座。

「気づかいくん」の乙女座は、人間関係にも気を配る「完璧主義」が、ちょっと息苦しそう。(乙女座の方ごめんなさい…!)

「こつこつくん」の山羊座もリスペクトするけれど。

やっぱり面白いのは、男女ともに自分のペースを死守する牡牛座!!

ほかの地の星座に比べて、ちょっと子どもっぽくも思える「やすらぎくん」が、独特だった。

☆「風変わりくん」水瓶座男子

自分の星座を差し置いて、一番好きな話がこれ!

こちらは、既に別れてしまったかつての恋人「風変わりくん」に宛てた書簡という形式。

大手広告代理店に勤めていた風変わりくん。

付き合っていたときも、話題は古い組織や、派閥に対する愚痴や、難解な理想論。

さらに、よくわからない映画監督やら怪しげな占い師やら、不思議な友人まで巻き込むデート。

どうも、オシャレな場所や、流行りのスポットを巡るような「普通の」デートではなさそうだ。

映画だってわけのわからない昔のフランス映画なんかじゃなくて、ハリウッドのハッピーエンドが見たかった。
クリスマスは限定メニュウのあるレストランにいきたかったし、お誕生日にはアクセサリーをプレゼントしてほしかった。

と、当時二十歳を過ぎたばかりの主人公が、周りのように華やかな恋愛に憧れるのも無理はない。

たとえばあなたとカルト映画の話で延々二時間しゃべり続ける舞台女優がただの友達で、カウンターでひとりやけ酒を飲んでいる私が恋人って、おかしくない?

あぁ、これは怒るよね。

(と、「私!私を見て!」という獅子座女子なら、すねちゃう。)

普通これは恋愛って言わないよ、と、主人公が諸々不満を伝えたところ

ほかの人の目なんか関係ないよ。ぼくたちが了解していたらいいことじゃない。」、それがあなたの答えでした。

このセリフが、一番ツボだった…!!!すごいなぁ。

「皆私を見て!」という獅子座と対照的だ。

牡牛座「やすらぎくん」とは違った意味で、マイペース…!

あなたはたしか、損得勘定やしがらみのない、フリーな立場で広告と関わりたいと言って仕事を辞めたんでしたね。今もひとり戦っていますか。

このフレーズから浮かび上がる「風変わりくん」は、とても魅力的。

「風変わりくん」は、他人と比べず、肩書にも依存せず、本当に自由だ。

自分の道を自分で切り開いて、とてもかっこいい…!憧れる…!

知的で、飄々とした印象の「風の星座」。

ただ、双子座・天秤座はバランス感覚に優れていて、現実的な印象で。

その2つの星座に比べて、自分の理想を大切に、突き抜ける水瓶座って…とても、面白そう!

広がる興味

いやぁ、しっかり自分を持っている人が好きなんだなぁと改めて。

自分自身の星座はもちろん、自分以外の星座でも、友人や家族、恋人と、身近な人と重ねて読むと楽しいかと。

12星座の特徴が分かりやすくて、一回挫折したホロスコープを、また勉強したくなった…!

普通に読み物としても面白いし、角田光代さんの本も読みたくなったなぁ。

BGMはこちら。笑

https://book-ground-music.me/books/192248/bgm#bgm-3924

あっ、自己顕示欲が強い獅子座女子なので、こちらのブログ記事をシェアしてもらったり、感想をいただけると、大変やる気がでます…!なんてね。