青山悠紀『早稲女の逆襲』

青山悠紀『早稲女の逆襲』

吾輩は早稲女である。

リアル当事者として、お勧めの早稲女本を見つけた。

早稲女と早稲男と、早稲女にうっかり惚れたあなたが・・・、読んでくれれば十分さ。

と、完全に内輪ネタで、独断、高慢と偏見の文章です。

強い女性という側面だけではなく、ではなく、強がっている・強くなろうとしている女性についての一冊。

まず、早稲女とは・・・「早稲田大学に通う女子学生」を指す。そのまんま。
もっといえば、勉強ばかりで女性らしさに欠ける、男勝り・・・のイメージ。

あとは、Google先生に聞いてくれ。(marunage)

ただ、「早稲女」は、現役学生だけでなく、卒業生も、ずっと「早稲女」を名乗る気がする。

1.概要

大隈講堂を背景に、気が強そうな女性が、軟弱そうな男子学生を足蹴にしている表紙。

(大隈講堂とは、予備校の広告に使われる、あのシンボルです。

在学生にとっては、酒盛りをしながら眺める建物。)

見るからに、早稲女の男勝りエピソードばかり集めた本のようだが‥。

しかし、本書の素晴らしいところは、早稲女の「弱さ」にも、きちんと言及しているところ。

「一番問題なのはまわりの評価ではないのです。『早稲女』として無意識に自分の中に刷り込まれた呪いといってもいいような不器用な価値観」

(青山悠紀『早稲女の逆襲』)

これこれ。

「虚勢をはっているのを認めて、もう少し楽に、頼ったり愛されたりすることも覚えようね」という趣旨で、良かった。

著者も一人の早稲女で、自分の「不器用な価値観」を客観的に見つめているんだなぁ、と、とてもよかった。

本の帯には、精神科医和田秀樹氏の推薦文「娘を早稲田に入れたい親御さん必読の書」と。

確かに読み終わったあと、響く。

2.感想(ネタバレ含む)

一人の、リアル早稲女からの、感想です。

(1)早稲女の生態

男子の中に女子一人でいることは日常茶飯事。

男女数人での健全な雑魚寝も、酒癖(あるいは女癖?)の悪い男を叱り飛ばし、泣かれることも・・・

どれも、身に覚えがあるエピソードばかり。

ただ、中でも興味深いのが、こちら。

「真面目」と「頑張り屋」が行き過ぎ、メンヘラをたしなむ。

(青山悠紀『早稲女の逆襲』)

あぁ、パワフルなようで、実はメンヘラをたしなんだこともあるのは、私だけじゃないのね、と妙にほっとした。

ただ、(偏見を承知で)早稲女がメンヘラ化しても、俗にいう「かまってちゃんメンヘラ:じゃなくて。

「自分の人生は自分で責任をもつ」という思考が強くなりすぎて、メンがヘラるんだよ・・・。

いやいや、私も、しょっちゅうメンがヘラっているけどさ。

「手首切って死ぬ!って、そんなんじゃなかなか死なねぇよ!」という、変なところで合理的思考が働いて、余計つらい。

自己決定権とは?をこじらせて、「安楽死」に興味を持ち、法医学の講義を取ったこともある。

私自身、メンをヘラったエピソードは、わりとテンプレ通り持ち合わせていて。

ハードなダイエットによる摂食障害も、不眠も、経験アリ。

あれだ、炎天下の中毎日8キロ走って脱水症状とか。

「クッキーを2枚食べた!カロリー消費しなきゃ!」と、とりつかれたように15分縄跳びをしていただとか。

食べ物を見ただけで、カロリーが浮かんだくらいストイックだった。

不眠も、嗜んだ。

「ナポレオンは3時間しか眠らなかったというし。実は私もナポレオン的な才能があるんじゃないか」と必死で自分に言い聞かせる…

メンがヘラっても、歴史上の偉人が出てくるあたりが、腐っても早稲女っぽい。

(という高慢と偏見に満ちている。)

もう、無理をしない、頼る、甘える、ってなんですか・・・

早稲女の必修科目に「甘える」をいれたら、と思いつつ。

早稲女を甘えさせられる教授ってどこにいるのでしょうか。

そもそも、いきなり「俺に甘えろ」と押し付けられたら、

「甘えさせられる器があなたにあると思っているのか」と、反発したくなるのを、必死でのみこむ。

しかし、「本当は甘えたいクセに。素直になってごらんよ」と分かったように追撃されたら、全力で頭突きしたくなる。

もはやこれは早稲女がどうこう、というより、私の場合、だけど。

別に早稲女は頭突きをする生き物ではない。

あれ、私、闘牛みたいだね!

(2)小説や音楽で考察する、早稲女

①神田川

「一緒に出ようねって言ったのに いつも私が待たされた」♪

(かぐや姫/『神田川』)

あれ、男より早風呂?
早稲女らしいぜ。

と、朝の化粧は5分程度で済ませるアカウントが申しています。

だいたい、付き合った男性に、「え、早いね‥?女子ってもっと支度に時間がかかると思った」と言われるやつ。

いやいや、君の目の前にいるのは、女装した早稲女だから。

戸籍女は「女」だけどさ。

「ただ貴方のやさしさが怖かった」♪

(かぐや姫/『神田川』)

うーむ。

まるで、おごられ下手で、甘え下手な早稲女のようだ。

「あなたはもう忘れたかしら」

(かぐや姫/『神田川』)

なんだなんだ、ずいぶん、未練がましいな。

あれ、通常は、男性が「名前をつけて保存」、女性が「上書き保存」っていうじゃない?

男らしいと言われる早稲女だから、恋愛も、男らしく、未練がましいのかもかもしれない。

というか、真面目ですべてに全力投球なんだよ・・・。

②村上春樹『ノルウェイの森』の緑

マルクスとおにぎりの具でマウンティングしている早稲男に、プンスカしたり、自分の出身校が嫌いだから、皆勤賞を取ってやったぜ!という、パワフルな緑。

あぁ、この負けず嫌いで、かつ、怒りを我慢せずに、きちんと言語化するところが、早稲女っぽい。

一方、緑が惚れた主人公、ワタナベは、馬鹿騒ぎをする学生から一歩ひいた、醒めた性格。

実に、文キャンあたりに生息していそうな早稲男だね。

やれやれ。

(今もいるでしょ、「紺碧の空」を熱唱している学生を、10歩くらいひいて見ている男子学生。)

そりゃぁねぇ、髪の毛が短かろうが、「そのままの君が、素敵だよ」と言えば、きゅんとくるよ。

「女らしさ」より「君らしさ」ってか。

ただ、本書は緑を肯定的に捉えていたけれど。

個人的には、緑は、ワタナベに、「弱さをぶつけられそうな相手」という幻想を見ているような気が、しないでもない。

イチゴのショートケーキを買ってこいと命じ、「違う私がほしいのはこれじゃない」と、買ってきたケーキをぶん投げる。

つまり、理屈が通っていなくてもいい、ワガママを言える相手、「こうあるべき自分」で頑張らなくていい相手・・・。

でも、ワタナベは、直子という別の女のことも考えいるんだもん。

心ここにあらずの、スナフキン男子に、「何か人と違うことを考えていそうな彼。今の私を受け入れてくれそう」と、勝手に幻想を重ねているような。

(と、私が、スナフキン早稲男にハマった黒歴史を重ねているだけかもしれない。)

・・・はー、私もいちごのショートケーキをぶん投げたい。

自分の黒歴史にも、スナフキン早稲男にも!

スナフキンぶった早稲男にドロップキック!

スナフキンにハマった黒歴史に水平チョップ!

(3)早稲女と結婚

本書で引用された俵万智さんのインタビュー記事もなかなか、「あぁ『早稲女っぽい』」と共感してしまった。

「何度かプロポーズを受けても『あなたが嫌いだからじゃなくて、結婚にそう興味がないの』と、断ったといいます。」

(青山悠紀『早稲女の逆襲』)

いやぁ、これ、どこの私!!??

俵万智さんに、己を重ねるなんておごかましいが。

世代をこえて。自分と同じ考えの人がいるのねぇ。とびっくり。

付き合った人たちに軒並み「私、結婚に興味はないんだよね」と言ってきたアカウントだから・・・。
(このあたりの「馬鹿正直」さ、まさに早稲女っぽい)

もちろん、結婚願望が強くて、それを叶えてかつバリバリ働いている、素敵な早稲女もいるけれど。

早稲女で結婚願望が薄い人は、そう珍しくない気がする。

類は友を呼ぶのだろうか。

「誰かに幸せにしてもらおうという願望が薄く、むしろ『自分らしい生き方』へのこだわりが強すぎるからです。」

「苗字が変わることへの抵抗も強いです。」

「結局どこかで独立採算の一匹狼気質が残っているのかもしれません。」

(青山悠紀『早稲女の逆襲』)

そう、結婚願望の薄さ、が、この文章に集約されている。

自分らしさへのこだわりが、強「すぎ」る。

だから、やっぱり夫婦同姓か夫婦別姓か選べるなら、別の名字を選ぶし。

一度、「妻(未届)」と住民票に記載されてみたい(つまりは事実婚)気もする。

別に家族がほしいわけじゃなくて、対等なパートナーがほしいだけなんだよなぁ…。

あぁ、姓名判断でも「勝負運の強いエゴイスト」と出るし、
四柱推命も比肩(独立心が強い星)が元命だし・・・。

おまけに早稲女。

まさに、独立採算の一匹狼気質だよなぁ。

「早稲女っぽい」と思う瞬間を、言語化すると「独立採算の一匹狼気質」という表現になるのだろうか。

しかし最近は、ゼミの先輩(早稲男)に、

「ぜひ数年後、君が、結婚した話を聞いてみたい。

夫婦別姓、別居婚云々、一波乱も二波乱も起こして、面白そうだから。

当事者だったら嫌だけど、他人事だったら絶対面白そう。」と言われる。

はぁ、そうですか。

別居婚に、どこか憧れているのも、やはりバレていたようで。

上野千鶴子をバイブルに、波乱を起こしてみせるぜ。

って、プライベートくらい、平和に暮らしたいんだけど。

たぶん、今後私が法律婚をするとすれば、我を押し通すあまり、好きな人と離れてしまうのが嫌で、しぶしぶ‥なのかしら。

ただ、本心は、住居も名字も別、に、興味と憧れは残ってしまうかもしれない。

といいつつ、ノリノリで結婚していたら、居酒屋「わっしょい」で結婚祝いをしてくれ!!

(4)早稲女取説(最重要)!

妻あるいは彼女が、女だと思ったら、早稲女だった!というあなたへ。

「守ってくれなくていいです。ただ、一緒に頑張る相手になってください。」

「人の将来に乗っかるつもりはありません(略)彼女たちには、一緒に突っ走ってくれる「相方」もしくは「戦友」が必要なのです。

(青山悠紀『早稲女の逆襲』)

おお、これだこれ。
私は、ヒーローに助け出される姫ではなく、前線で闘う赤レンジャーでいたいんだ!

一緒に戦ってくれる知的で誠実なイケメン青レンジャーがほしいんだよね…。

えぇ、昔、友達に「元彼の最大の誤算は、君を女扱いしたことだ。」と言われたアカウントだよ・・・

その心は「彼は守る対象とみていたけど、君は対等でいたかったんだよね」と。

そうなんだよ!

別れ際に「癒やし系だと思った」と言われた暁には、思わず「ブルータス、お前もか!」と返したくなったぜ。

(この突っ込みも、歴史が好きそうな早稲女らしい。)

とはいえ、「赤レンジャーとして、なんて自分は弱っちいんだ」と戦闘力の低さを嘆く日々。

だから、メンヘラをたしなむんだよ。

でも、悪の組織には転がりたくないんだよなー。

ヒーローの助けを待つより、自力で青レンジャーに会いに行きたい。

目の前の悪は、看過せず、ぶちのめしたい。

3.早稲女の生態を楽しむ本と音楽

ついでに、「早稲女」で連想した本と音楽を、紹介します。

(1)綿矢りさ/「かわいそうだね?」

彼氏が元カノを家に住まわせた?しかし妙に男気を出して彼氏を擁護する主人公・・・悲壮感はあまりない。

もし地震が起きたら暴漢に鞄をひったくられるが、取り返して暴漢をぶん殴っていそう・・・な、主人公。

レジうちを間違えた後輩に対しても、感情的に責めず即座にフォローに回る。

実に男前というか、姉御肌というか。

誰かに頼らず、「自分でなんとかする」という思考が非常に強いなぁと・・・

著者の綿矢りささんも、早稲女だしね。

(2)柚木麻子「早稲女、女、男」

一番の早稲女小説!(早稲女小説ランキングなんて作ったことがないけれど)

(3)lecca『働く♀の子』

早稲田大学政治経済学部卒のレゲエ歌手。
早稲女だからハマるよ、と勧められた。
ストイックな歌が多い多い・・・

うちの冷蔵庫にはRedbull

たまには満たしたい野菜室

(lecca/働く♀の子)

って、男に生まれていたら「企業戦士」になっていたやつ…。

4.早稲女の戯れ言

私にとって「早稲女らしい」は最高の褒め言葉である。

特に「独立心が強い」といわれるのが嬉しい。

ただ「自立した人」に憧れて、人に頼ることがわからなくて、「孤立した」人になってしまったところは、多いにある。

お一人様で生きていこう、と頑張った結果、お二人様の生き方が、よくわからない、みたいな。

(別にお一人様でちゃんとやれているわけでもないけど。)

あぁ、甘え方を、義務教育にしてほしい。

いや、「甘え方の習得」を、誰かに頼る時点で、甘えだよなぁ・・・自分で弱さをこえて、人に心を開いたり、頼ったりしないと、と、ハードモード思考に行き着く。

こんな思考回路だから、女々しく悩むし、メンもヘラるけど、

幸せの青い鳥ならぬ、知的で誠実な青レンジャーをつかんで離さず、赤レンジャーとしてパワーアップしていくぜ。

いや、早稲女は赤レンジャーつーか、えんじレンジャ-??(早稲田カラー。)

えんじレンジャー5人集めたほうが、戦闘力は高いかもしれない・・・