俵万智『サラダ記念日』/七月六日以外の絹の道

俵万智『サラダ記念日』/七月六日以外の絹の道

読書メーターで、急に「いいね」がついた本が俵万智『サラダ記念日』。

何かと思いきや、ああ、七月六日はサラダ記念日なのねと。

ありふれた時間が愛しく思えたら それは愛の仕業と…♪

じゃないけれど、愛の仕業を綺麗に切り取った短歌集。

なにげない一日が、ふたりの記念日になるという表題作の歌も素敵。

でも、表題作だけじゃなく、読みなおすたびに、いろんな歌が響いて面白い。

七月六日に便乗して、高まって書いてしまった…!

①田舎臭い埼京線だって、シルクロード

君の待つ新宿までを揺られおり小田急線は我が絹の道

俵万智「サラダ記念日」

これ、とても好きだなぁ。

そうそう、好きな人と待ち合わせまでの道は、キラキラして見えるんだよね…!

あの田舎くさい埼京線だって、混雑が激しい湘南新宿ラインだって、すべてシルクロード。

特に、すっごい好きだった人との付き合う前のデート。

「緊張しすぎてやばい!!!とりあえず座って、落ち着いていけ私!!」

と、快速でもなく、湘南新宿ラインでもなく、あえて選んだ、各駅停車の埼京線。

あのとき、古くてくたびれた埼京線すら、キラキラしてみえた・・・

けして、ワイが、スマホの通知にびびって、ペットボトルの水をぶちまけたからキラキラしていただけじゃない・・・

(あれまだ20代…若かったなぁ‥)

と思ったら

会うまでの時間たっぷり浴びたくて各駅停車で新宿に行く

俵万智「サラダ記念日」

既に素敵な歌が、あったわ。

さらに、この次の歌もとてもワクワクする。

物語始まっている途中下車前途無効の切符を持って

俵万智「サラダ記念日」

綺麗。なんだか、映画のワンシーンにありそう。

Suica全盛期、「切符」という響きがまた、情緒があってよい

②そろそろ終点?不吉な予感の歌もいい

愛持たぬ一つの言葉 愛を告げる幾十の言葉より気にかかる

俵万智「サラダ記念日」

そうそう…こういうの、引っ掛かるとだいたい嫌な予感は当たるし…w

何してる?ねぇ今何を思ってる?問いだけがある恋は亡骸

俵万智「サラダ記念日」

これは的確で、ぞっとする歌だ…

こういう不安から問いが出るだけで、もう終わりに向かっているのかなぁって感じる‥

(世の中では大変ありふれた現象だと思う。残念ながら)

最後かもしれず横浜中華街 笑った形の揚げ歌詞を買う

俵万智「サラダ記念日」

楽しそうな明るいデートのようで(「横浜中華街」「笑った形」というあかるい言葉)、

内心、さみしさを感じる様子、この歌も印象的だった…。

遠目から見ると、楽しそうにしていているカップルでも、実は別れまでのカウントダウンと葛藤しているのかも…。

諸行無常。

恋愛をしないと文学なんて半分もわからない

自分の読書メーターを眺めていたら、

「文学なんてどんなに勉強したって、恋愛をしなければ半分もわからない」と書いてあった。

我ながら、なんなんだ…。

あぁ、そうか。学生時代、近代文学の講義で聞いた

「文学に必要なのは大学の講義じゃない。

恋愛をして、「『失恋をした、それでも朝がやって来る』という経験なんです」

という、言葉を思いだしたんだな…さすが文学者や。

確かに高校生のころもこの本は読んだけど、そんなに印象に残らなくて。

そりゃガリ勉で恋愛と無縁だったから、何も味わえないよなぁと…。

毎年七月六日に、この本を開いて、各年「お気に入り」の歌を見つけても楽しそう。

織姫彦星を差し置いて、恋人たちと歌を交わすとか…!!

七月六日は、サラダ記念日。

でも、七月六日じゃない日に見つけた、素敵な絹の道も忘れたくない。

俵万智『サラダ記念日』は、Mr.children「sign」のイメージだ…!

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